会長ご挨拶(令和3年度)

「コンクリート製品業界としての使命」


  一般社団法人東北コンクリート製品協会 会長  前田 直之

 

 

  東北コンクリート製品協会が発足して8年目を迎えます。「オール東北」を標榜して活動してまいりました当協会は、おかげさまで正会員43社・団体会員5団体(準会員24社)・賛助会員13社の計80社の会員を擁するまでに成長いたしました。これもひとえに関係各位の熱心なご指導と多大なるご協力のおかげと心から感謝申し上げます。

 この1年間を振り返りますと、まさに新型コロナウイルス(COVID-19)対策に追われ、翻弄された一年でした。当協会に関係するものだけでも、春のEE東北2020、JIS工場管理者講習会、秋の省庁合同事業説明会など、多くの催しが中止、延期を余儀なくされました。毎年1月に開催しておりますコンクリートパイル・ポール協会東北支部、全国ヒューム管協会東北支部との3団体共催の新年賀詞交歓会は、経済産業省東北経済産業局の渡邉局長と国土交通省東北地方整備局の國友河川部長を講師に招いての講演会に変更いたしました。例年150名近い参加者のところ、今回は会員社から約50名の参加とやや寂しい感もありましたが、来年はワクチンや治療薬の開発によって通常通りの開催ができることを期待しております。

 さて、今年のもう一つの大きな出来事と言えば、3月11日に東日本大震災から10年の節目を迎えます。未曽有の大災害の記憶は消し去ることはできません。しかし、ふるさとの復興・再生のために前を向き、歯を食いしばって皆が力を合わせて頑張ってきた甲斐もあり、前半5年間の「集中復興期間」、後半5年間の「復興・創生期間」併せて10年間の復興期間にインフラ整備をほぼ目標通りに達成できました。私たちコンクリート製品業界も各社の利害を越えて一致団結し、復興加速化に向けて努力したことで僅かなりとも貢献できたのではないかと思います。新しく生まれ変わった街並みや、道路、鉄道、農地など随所にその成果を見ることができます。

 当初は運搬距離や可使時間などに制限のある生コンをフォローし、「工期短縮」に主眼を置いた立ち位置でしたが、現場の熟練技能者の不足を補うための「省人化・省力化」での採用実績も多くなってきました。復興需要のピークは過ぎましたが我が国の生産年齢人口の減少により、これからも慢性的な人手不足の環境が続きます。一方で、ここ数年の豪雨災害により、今までの治水対策を抜本から見直すことが求められており、気象条件に影響を受けにくいことや省人化・省力化でコンクリート製品が貢献する場面は多くなると思います。地域のインフラを作り、守るのが私たちに与えられた使命ですが、単に製品を供給するだけでなく、製造・運搬・施工という一連の流れの中で建設現場の安全確保や構造物の品質確保、工期の短縮と省人化によって建設業全般の生産性向上に大きく貢献していかねばなりません。

 まだしばらくは新型コロナウイルスの影響は残ると思いますが、災害はウイルスの沈静化を待ってはくれません。困難な状況ではありますが、皆さんと共に考え、ふるさとを守るという東北コンクリート製品協会の使命を果たしてまいります。

 皆様の一層のご支援とご協力をお願いして、新年度にあたっての所感といたします。