「2024年問題の解決策」
一般社団法人東北コンクリート製品協会 会長 前田 直之
東北コンクリート製品協会が発足して11年目を迎えます。「オール東北」を標榜して活動してまいりました当協会は、おかげさまで正会員42社・団体会員5団体(準会員24社)・賛助会員13社の計79社の会員を擁するまでに成長いたしました。これもひとえに関係各位の熱心なご指導と多大なるご協力のおかげと心から感謝申し上げます。
昨年は新型コロナウイルス(COVID-19)が感染法上の5類に引き下げられて、ようやく従来の生活が戻ってきた一年でありました。当協会においても、EE東北23、JIS工場管理者講習会、秋の省庁合同事業説明会、そして4団体共催での賀詞交歓会と、元通りのスタイルでの開催ができました。これまで十分な意見交換や意思疎通が出来ていなかった分を取り返すべく、これからも活動を活発化させてまいります。
さて、今年度の一番の課題としましては、私たちと密接に関係する建設業・運送業の残業時間の上限規制の特例撤廃という、いわゆる「2024年問題」への対応であります。一日の実質稼働時間が短くなり、工期短縮のためのプレキャスト化が進むのでは、という期待もある半面、一方で製品の輸送に伴う様々な制約も増えてきます。今までは業界慣習として無償で行ってきた荷卸しや小運搬などのコストを「見える化」するなど、発荷主である私たちと着荷主である建設会社、そして実際に運送業務に携わる運送会社との協議の中で、業務の効率化や責任の明確化、業務時間やコストの削減方法を話し合っていかなければなりません。「待ち時間の短縮」というテーマが議論されているようですが、そこにコストがかかっていることを認識しなければ短縮へのインセンティブは発生しませんし、そもそも「自分事」になっていなければ議論にもなりません。その意味でも三者が皆当事者としてその解決に向かうべきだと考えます。
また、今年の元旦には能登地方で大きな地震が発生し、多くの方々が犠牲となり、今もなお避難を続けている方がいらっしゃいます。震災を経験した東北の人間として、お悔みとお見舞いを申し上げます。東北はハード面では復興を成し遂げたようにも見えますが、ソフト面での復興は中々先が見通せない状況であります。さらに、10年間の集中復興期間を終えて、工事の発注量はピーク時の3分の1まで減少し、震災前よりも少ない状況であります。原材料や燃料費の高騰を製品価格に少しでも転嫁できないかと努力はしているものの、需給バランスの大きな乖離は、地域によっては価格競争によってかえって値下がりしている製品も見られるなど混乱をきたしております。自由競争なので仕方ないと言ってしまえばそれまでですが、業界として持続可能な体制をつくり、これからの少子化社会、如何に建設産業の生産性を向上させるかという課題解決のため、そしてまたいつ来るかわからない災害に備え、活躍できない業界であってはなりません。
そのあるべき姿を模索する、そのような年になるのではと考え、そして実行してまいります。皆様方におかれましては、当業界に対しましてなお一層のご指導ご鞭撻をお願いいたしまして、年度初めにあたってのご挨拶とさせていただきます。